まえがき
この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2022の13日目の記事となります。
クソ程どうでもいい話ですが、20221213は素数らしいです。
素数大富豪で使いたいところですが20の並びがあるので使えませんね。*1
ちなみに1213も素数ですので、こちらのほうが組み合わせやすく使いやすそうです。また、私の誕生日(12/17)の1217も素数で、1213と1217は差が4のいとこ素数となっています。
話がそれてしまいましたね。キューブの話に戻しましょうか。
昨日12日の記事は梅子さんの『初心者向けにBLD解説してみる-苦しみを共有しましょう-』でした。
明日14日の記事はあっきさんの『RouxじゃなくてLou』となっております。
今年のアドカレも折り返しですね。皆さんの記事も力作ぞろいで毎日楽しく拝読しています。
今回こそはちゃんとWCAパズルのスピード解法について書こうと思います。去年の記事は需要が低すぎたので
インスペクションから "戦い" は始まっている
ピラミンクスに限られた話じゃないですが、スピードキューブのインスペクションタイムってめちゃくちゃ重要なんですよ。(当たり前)
特に2x2x2やSkewb等の小分割競技をやっている人なら分かると思いますが、インスペクションでどこまで読めるかがタイムに直結します。
その結果、インスペクションでの完読みに行き着くんですけどね。
私が主にピラミンクスのインスペクションタイムで意識して見ている箇所としてはこんな感じです。
- ブロックやバーからVが作りやすそうな色を探す
- 揃っていない頂点の個数と向きの確認
- (余裕があれば)L4Eの先読み + AUF
ここで一つポイントなんですけど、ピラミンクスで一番最初に確認するべきなのは頂点ではありません。一番最初に見るべきはVの作りやすそうな色を探すことです。
ピラミンクスはCNが望ましいので、インスペクションは色に合わせて持ち替えます。最初に頂点の位置や向きを確認しても、その後持ち替えてしまっては意味がありません。
最初にVを作る色の目星をつけてから頂点を確認しましょう。
あと、当たり前すぎて書くべきか悩んだんですけど大事なことなので書きます。
ピラミンクスの配色を覚えていない人は覚えてください。
頂点もそうだけど、ピラの配色を把握してないやつは1ヶ月間4面体パズルしか触れない刑に処す。
— 暇人のキューブ日記 (@Pyraminx_tanoc) 2021年6月8日
ピラミンクスの指使いについて
ピラミンクスは形状故に指使いがめちゃくちゃ大切です。
この機会にみなさんもピラミンクス特有の指使いを会得していってください。
R・L系の回し方
これは皆さんの想像通りでしょう。
普通につかんで普通に回します。
状況にもよりますが、R・L頂点の対面を回すこともあります。
Rの真反対の面をLw、Lの真反対の面をRwとすると、
R B' R' を Lw U' Lw' として回すことも可能です。
U系の回し方
Uを回すとき、人差し指を後ろのエッジまで伸ばして、3x3x3のトリガーをするように回していませんか?
絶対ダメとは言いませんが、ロスが大きいのでオススメしません。
Uを回すときはRFエッジに人差し指をかけてトリガーしましょう。
左手でUを回したいときは人差し指をFLエッジにかけて弾くようにして回します。言葉で説明しにくいのですが、60°くらいまで弾いたら残り60°は押し込むイメージです。
左右どちらの手でも回せるようにしましょう。
(例) R U R' 回す場合
- Rは普通に回します。
- Rを回した直後なので、右手人差し指はD面に来ています。この状態で右手でUをトリガーするのは明らかにロスなので、前述の左手人差し指で弾くようにして回します。
- 1でRを回した右手を戻します。
B系の回し方
そこの君!もしかしてピラミンクスのBを回すとき持ち替えていないかい?(誰)
これマジで2億回は言ってるんですけど、ピラミンクスで持ち替えは甘えです。
Bを回すときは中指(or 薬指)を使ってD側のエッジを押し込むようにして回しましょう。
また、RやL'を回した直後なら人差し指がD面に来ているので、そのままトリガーでBを回すことも可能です。
頂点について
おそらくピラミンクス競技者が一度はぶち当たるであろう壁。頂点です。なんなら現在進行形でぶち当たってる
TwitterのTLとか眺めていると散見されるのが、「パズル性が無いからいらない」等の否定的な意見です。
そうだよ!確かにパズル要素皆無だよ!
ですが競技面で見ると話が変わります。
ここにピラミンクスの指使いの全てが詰まってます。
少し前にTwitterにて頂点の指使いについて言及したのですが、折角なのでここにも書き残しておきます。
ピラの頂点について自分が意識している事(実践で出来ているとは言ってない)を忘備録ついでに書き連ねるので見たい人は見ていってください。
— 暇人のキューブ日記 (@Pyraminx_tanoc) 2022年5月2日
↓
色々書き連ねていますが、結局私が言いたいのは「u頂点は残さない方が良い」ということです。これさえ意識しておけば頂点のロスタイムは幾分か軽減すると思います。
r・l頂点は普通につまんで回せます。b頂点も最初は慣れないかと思いますが薬指(or 中指)で回せます。
ですがu頂点を回す場合、指のホームポジション的に回しにくいんですよね。
私は最初に処理していますね。
レアケースではありますが、『R・L系の回し方』で触れたRwやLwで実質上の持ち替えをした際に処理する方法もあります。
グダグダと色々書きましたが、結局ピラミンクスの頂点は数こなして慣れろとしか言えないと思います。(なげやり)
頂点の処理は指使いも大切ですが、実は処理するタイミングが重要だったり…
最初に頂点を全て合わせたりするのではなく、ソルブの合間を見計らってさりげなく合わせるのがコツです。
Vの作り方
今更書くことでもないと思いますが、私はV-firstで解いてます。
Top firstの方にはあまり需要がない情報になるかもしれませんがご了承ください。
Vの作り方ですが、正直なところ経験と勘とその場のノリがほとんどです。一応定石みたいなものはあるのですが…
RouxのFBのように自由度が高い分、競技者の即興力が試されます。
CStimerのソルバー機能に『Pyraminx V』というものがあり、各面のV最短手順を出してくれる機能があるので、そこから自分なりの定石を見つけるのがいいかもしれません。
この記事の後半でexample solveの解説をしてるので良ければご参考までに。
L4Eについて
こればかりは覚えるしかないですかねぇ…
CubeRootの手順表が一番使いやすいと思います。
一応AUFまで含めた全てのL4Eのパターンを網羅した手順表もあります。
ちなみに、最近私はML4Eとかいうやつにも手を出していたりしますが、まだまだ練習段階です。
一般的なV-firstは、Uエッジ3つ + FDエッジの4つをL4Eとして扱いますが、FDエッジに限らずRDやLDエッジでも使えるようにしたのがML4Eですね。
3x3x3でいうところの裏F2Lみたいなものですね。ゆくゆくは使いこなしてみたいものです。正直、L4Eの判断ですらクソ雑魚なのでそれ以前の問題ではありますが…
これから始める人に「L4E全部覚えろ!」っていきなり言うのも酷なので最初はBegineer's Polish Vでも良いと思います。
覚える順番ですがCubeRootの手順表を上から順番に進めて良いと思います。
最優先で覚えるべきなのが、完全一面後のLL系(手順表の04~07)とフリップ系(01~03)ですね。
余裕があればL3E系(08~15)も覚えておくと便利かと思いますが、ちゃんとEOやBarを見ないと2flipが残ったりするので慣れるまでは時間がかかるかもしれません。
CFOP基本手順を覚えた3x3x3キューバーにはぜひL4Eにも挑戦して頂きたいですね。そして判断の難しさに苦しんでほしいです。
もしこれからピラミンクスをガチる予定の人がいるなら、助言としてL4Eの取得は早ければ早いほど良いというのを挙げておきます。
3x3x3で後天的にCNを会得した人なら分かるかと思いますが、一度ついてしまった癖を抜くのは大変です。ましてやCNが前提で判断が難しいピラミンクスではその癖の差が顕著に出ます。(経験談)*2
example solve
ここまでの内容を踏まえていくつか私のexample solveの解説です。
sample① U' B U' R B' L B' R l r' u
見て分かるラッキースクランブルですね。
黄色でブロックがすでにあるので有効活用しましょう。
- 黄色D赤Fになるように持ち替え
- 左手人差し指と薬指でu・b頂点合わせ(u' b)
- 黄色V(R' B' L B')
この時点で、赤黄DFエッジflipまで見えてると良いですね。
*3 - L4E (L' U' L R' L R L')
- 最後にr頂点を右手でねじって完成 (r)*4
一応3手V(緑D赤Fで L' B R')もありますが、R' B' L B'の方がL4Eが読みやすかったのでこちらを使っています。
sample② R B L U' R' L' R' U L l b'
- 赤D緑Fになるように持ち替え
- 赤V (L B' L' R')
- L4E (U R U' R' L' U' L U')
これ頂点処理のタイミングは人によって変わると思います。
私の場合はV作成時にb頂点、L4E終わった後にr頂点を処理しました。
今回のVは、青赤エッジのペアが見えたので活用する分かりやすい形ですね。*5
青Vを作ろうとすると青黃エッジの位置がちょっと都合悪いため、今回は赤Vにしています。さらに赤黃エッジの位置が良いですね。
1手目のLで青赤エッジを避難、B' L'で赤黃ペアを作りつつ最初に避難させた青赤エッジを戻します。
ちなみにV最後のR'で赤緑EOが見えますが、そのままで大丈夫です。3x3x3などでは何かと嫌われるEOですが、ピラミンクスL4Eでは判断が楽になるので(私は)ラッキーパターンだと思います。*6
ちなみに、そのままR'すると4flipのなるところまで読めた場合は直前にUやU'を挟むことで回避もできます。
sample② 別解(ぺんすけさん提供)
- 青D緑Fになるように持ち替え
- 青V (L U' R B')
- L4E (U’ R2’ L R L’ U)
Vの最後にR'、L4Eの1手目がRなのでキャンセルしていますね。
完読みしているからこそ為せる技でしょう…
sample② 別解(ぺんすけさん提供)
- 赤D緑Fになるように持ち替え
- 赤V (U’ R’ U’ L’ B’ L)
- L4E (R U R’ U’)
これヤバいですね(語彙力)
1手目のU'をしなくてもVは作れるのですが、このU'のお陰でエッジが1つ揃うのでL3Eのなります。
赤青ペアを避難させるために4手目にL'をしていますが、ここがLになっているとL3Eになりません。
これらを読んだ上での判断でしょう…
sample③ L R' L' B U L' U' R' U l r' b
- 青D赤Fになるように持ち替え。
- 左手人差し指と薬指でu・b頂点合わせ(u' b)
- 青V (R' L' U B')
- L4E (L' U L2 R' L' R U')
- r頂点合わせ (r')
ぱっと見ブロックも無いので難しそうなやつです。
(スクランブル直後の状態から)R'で赤青ペア、B'で青緑ペアが見えるかがポイントになりそうですね。
前述の2ペアは互いに干渉し合う位置なので、どちらか一方に絞る必要があります。
ここで仮に赤青ペアを選択すると、2手目に青黃ペアまで見えますが、センターの向きが良くありません。
なのでここでは青緑ペアを活用します。
青D赤Fになるように持ち替えてR'で青緑ペア、L'でセンターの向き合わせ、Uで青黃ペアを作ります。最後にBで合わせてVの完成です。
今回のL4EはL' U Lとヘッジスラマー*8を組み合わせた手順で、最短手順はL' U L' R' L' R U'ですが、回しやすさの観点から3手目のL'をL2にして回しています。
sample③ 別解
解説書いてる途中で別解見つけたので追記しときます。
- 赤D緑Fになるように持ち替え。
- 右手人差し指と薬指でu・b頂点合わせ(u b')
- 赤V (L' U R B')
- L4E (U' R' L R L2' U L U)
- r頂点合わせ (r')
L' Uで赤黃ペア、Rで赤青ペアを合わせます。
1手ペアに気を取られて気づきませんでした…
もしかしたらsample①と②も良い別解があるかもしれません。
見つけた方はこっそり教えてくれると嬉しいです(殴)
sample③ 別解(望月シンジさん提供)
- 緑D黄Fになるように持ち替え
- 緑V (L' U R U' B')
- L4E (R U R' U' R U' R')
(解法解説&コメント準備中。もうしばらくお待ち下さい)
あとがき
私がピラミンクスを本格的に始めてみたいと考えていた頃、初心者に向けた指南書が欲しいなぁ~って思っていたんですよね。
単純に競技人口が少ないので、相対的に情報を得る機会も減る訳ですよ。
やる気はあっても学ぶ術が無いってすごく勿体ないことだと思うので、私と同じような人をこれ以上出さないためにも私自身が率先して書くべきなのかなという次第です。
偉そうなことを色々書きましたが、「じゃあお前はここに書いてること全部できてるんか?」と言われたら、自身を持ってYesと言えない自分もいます。そもそも最近練習してない…
せいぜいトリコンで入賞してる程度の実力で偉そうなこと書いてごめんなさい。
私自身、自分のピラミンクスのソルブに納得いかない箇所はまだありますし改善点もいっぱいあります。望むことなら、この記事をきっかけにピラミンクスを始めてくれた人と共に切磋琢磨してみたいものです。
最近は例の流行病も落ち着き始め、以前の生活様式が戻りつつあり、日本国内の大会も少しづつ開かれるようになりました。新しく公式競技の記録を持つという点でピラミンクスはすごくコスパが良いと思うので、ぜひともこの記事を見ながらピラミンクスに挑戦してみてほしいですね。
またどこかでお会いしましょう。